麻酔や技術の発達のおかげなのか、最近では滅多に言われなくなりましたが、“言うこと聞かないと歯医者さんに連れて行くわよ!!”といった言葉が表しているように、歯科治療は痛いもの、また怖いものの代名詞として使われ、そして考えられていたところがあります。原因は歯を削るときの不快な器械音や麻酔時の痛みなど色々考えられると思いますが、その中の一つに歯科治療を受ける患者さんの姿勢も大いに関係しているのでは?と思っています。
どういうことかというと、ヒトは体を起こしている状態で大きく口を開けようとすると、下あごは下の方に向かって、それと反対に顔は上の方を向くように、つまり頭は頚椎(首)を支点として後ろに傾くように動きます。
これを協調運動といいますが、これは逆に頭を後ろから押さえると口は開けづらくなり、無理に開けようとすると支点となる頚椎や筋肉群に過度なストレスがかかることを意味しています。これが、歯科医院で診療台に仰向けに寝た状態で、頭の動きを押さえられて治療を受けている状態です。つまり、これらの状態を危険なものとして察知して、そのシグナルとして恐怖心が現れているのでは?と考えています。
写真は構造医学の吉田先生が考案されたもので、歯科治療における頚椎障害を防ぐための“デンタルピロー”と呼ばれる枕です。この枕を治療時に頭部にあてがうことで頭を動きやすくし、頚椎へのダメージを極力少なくすることができます。
もうおわかりだと思いますが、口が開けづらいなどの症状は、あごの関節に問題がある場合もありますが、過去に交通事故で頚椎を障害した方など、口を開ける時の支点となる頚椎自体に問題がある場合も多いようです。現在、私の医院では子供から年輩の方全ての患者さんにこの枕をあてがい、首を優しく守りながら治療を行っています。