現在、巷で評判の『ロングブレスダイエット』は息を吐き続けることにより身体の代謝能を高めていく方法です。
ヒトは大きく息を吸って息を引き取るといいます。息を吐く力が尽きて最期を迎える訳です。これは、息を吸って肺に空気を取り込む行為に比べて、肺の中の息を吐き出すという行為がプラスαの何らかのエネルギーを必要としていることを意味しています。そのエネルギーとは、自然な状態では膨らもうとしている肺を押さえ込む力です。
肺が収められている脊椎(せきつい)や肋骨(ろっこつ)で囲まれたかご状の構造を胸郭(きょうかく)といいます。肺はこの胸郭で抑えられた比較的陽圧の中でその生理的な役割りを果たします。もし、胸郭の構造にゆるみが出て肺の抑え込みが阻害されるならば、肺は膨張傾向に陥ります。膨張により引き延ばされた肺の細胞は変成を起こし、換気障害の原因となる肺線維症や肺気腫へと転化していきます。構造医学ではこれらを胸郭・過拡張症と呼び、胸郭の構造に障害をもたらし得る上体をそらす習慣や、座って上体を捻る習慣、猫背などに注意を呼びかけています。また、この胸郭の中には心臓も収められており、同じような経緯をたどり心筋症へと発展する場合もあるので注意が必要です。
このようなことから、息を長く吐き続ける行為は、正しい姿勢でそれが行われるならば、胸郭の構造の保全と強化のために非常に有効な手段と思われます。肺の中の最後に残った空気を絞り出すように咳をされている方、少しずつ始められてみては如何でしょうか。