先週の水曜日の夜8時から放送されたNHK“ためしてガッテン”は『歯ぎしり:http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20121114.html』がテーマでした。番組では歯ぎしりが及ぼす影響をタイプ別に分けて、その症状や対策方法などわかりやすく説明されていました。その中で興味深かったのは、どちらかといえば悪者扱いされる歯ぎしりを“良い歯ぎしりもありますよ…”と、肯定的に捉えているところがあった点です。
その一つ目は、鹿児島大学歯学部の矯正学教室の研究として紹介された、就寝中歯ぎしりをすることにより反射的に出た唾液が、食道に逆流した胃酸を中和してくれるというものです。患者数1200万人ともいわれる『逆流性食道炎』などの炎症の予防にもなり、他にも血圧や血糖値も下がるという効果もあるということでした。
二つ目は、番組のコメンテーターでもある神奈川歯科大学教授の佐藤貞男先生がお話しされていた“歯ぎしりはストレス発散の現れである.”というものです。番組の中では詳しい説明がなかったので、もう少し佐藤先生の文献からご紹介します。動物では、“歯”は食べ物を補食するための道具として使われていますが、その他に威嚇(いかく)や攻撃などの情動性攻撃のための武器として使われています。ヒトは高度に進化した脳の発達により、その攻撃行動を理性によって抑制するようになりましたが、就寝中はその理性を抑制することができません。つまり、“歯ぎしり”はその攻撃性が変化したもので、就寝中に本能的にストレスに対して攻撃し、それを解消(回避)しているということなのです。
隣で寝ていらっしゃるご主人?奥様?の“歯ぎしり”が気になっている方、まだ噛みつかれていないだけでもまし…と思ったほうがいいかもしれませんね。。