猛暑の候… とはいえ、朝夕は例年よりやや涼しめ。湿度も低いのでしょうか? 日陰に入れば風が心地よい… いつもとは違う今年の夏ですね。
さて、ゴルフファンにとって先週末は、TVから目が離せないひと時となったのではないでしょうか。“怪物ルーキー” 松山英樹選手がやってくれましたね。初出場の全英オープンながら、4日間を通して安定したプレイを披露。上位選手がことごとくスコアを崩した最終日にもひとつスコアを伸ばし、6位タイという素晴らしい成績でフィニッシュしました。6月に行われた全米オープンの10位に続いて、海外メジャーで連続トップ10入りを果たしたのは快挙と言わざるを得ません。しかも、彼がついこの間までアマチュア選手であったことを考えれば尚更です。
さて、「プロよりも強いアマチュア」と称されたゴルファー・中部銀次郎(なかべぎんじろう・1942〜2001)をご存知でしょうか? 一見ゴルフマンガにも出てきそうな名前ですが、中部氏は1942年下関生まれ、小学校の頃から兄と共にゴルフを始め、山口県立下関西高等学校在学中に関西学生選手権に大学生に混じって出場、そして優勝を果たし一躍その名をとどろかせます。その後、甲南大学に進み、在学中に日本アマチュア選手権で2度優勝、卒業後はプロではなく普通の会社員の道を選び、その後もアマチュアとしてゴルフを続け、計6回の日本アマ優勝を誇るなど、アマチュア界の頂点に君臨し続けたゴルファーです。
これだけの成績を残しながら、彼がなぜプロに転向しなかったのか…? 皆さんも不思議に思われたのではないでしょうか。彼の著書『もっと深く、もっと楽しく』の中からその訳をご紹介します。
その第一の理由、
「トッププロになるということが、どれだけすさまじい努力を必要とするか… わたしは、かいま見て知っていたからだ。」
トップアマを維持するために、学生時代はもちろん社会人になってからも寸暇を惜しんでトレーニングに励んできた彼の言葉だけに説得力があります…
そして第二の理由、
「自分の力を試すのは、アマチュアのままでもできることだと考えたからだ。 … 簡単にいえば、プロ、アマともに競うオープン競技で持てる力をふるえばいいのである、もし自分の力を試したいというのであれば…」
しかしながら、これには彼の誤算もあったようです。当時、同じアマチュアであった中島常幸や倉元昌弘、そして湯原信光らの才能の前に負け、自分にさらなる修練を課しタイトル奪取を誓ったものの、彼らが次々とプロに転向してしまい、目前のライバルを失った彼は次第にゴルフ競技に闘志というものを見いだせなくなっていきます。
著書『もっと深く、もっと楽しく。』は、こうした中で、彼が“勝つ”ことに執着して、無我夢中でボールを打っていた頃には気付かなかったゴルフというものを、改めて様々な視点から書き綴った本です。25年前、自分が最初にゴルフを始めた時に、友人に勧められて購入しました。初版は昭和62年、四半世紀過ぎた今でも決して色褪せしない、ゴルフの本質というものに触れた名著であると思っています。自身のゴルフの支えとなっています。