患者さんから夏バテ対策として珍しい物を頂きましたのでご紹介します。烏骨鶏(うこっけい)の卵です。烏骨鶏はニワトリ(鶏)の品種で、“烏骨”とは元々“黒い骨”という意味らしく、写真の烏骨鶏の羽毛は白ですが、羽毛を除けば皮膚、内蔵、骨に到るまで黒一色という特徴を持った鶏です。その外見からなのか、古来中国では霊長として扱われ、不老不死の食材として呼ばれた歴史もあるようです。それほど重宝された烏骨鶏ですが、実際の栄養学的なところはどうなのかというと… 日本食品分析センターが行った分析結果では、各種栄養素の含有量は非常に高く、ビタミンAはうなぎの9.7倍、ビタミンBは牛レバーの2倍、鉄分はほうれん草の9.6倍、亜鉛は大豆の3.3倍にも相当し、その他カルシウム・ビタミンE・レチシンなどバランス良く豊富に含まれているということが分かっているようです。
卵の大きさは、スーパーなどで見かける一般の卵のSクラスよりやや小さめで、色はうすいオレンジ色。普通の鶏が年間250〜300個産むのに対して、烏骨鶏は年間50〜60個しか産まないらしく、中国では古来より母親の産後の栄養食として用いられていたことから、親鶏同様その高栄養のほどが伺えると思います。
さて、実際に食べた感想はどうかというと… 朝食に、卵かけご飯として食べましたが、他の味付けは必要ないほど非常に濃厚な味わいで、その栄養価の高さを実感できました。たまらず、おかわりといきたいところでしたが、結婚してから頑(かたくな)に守られてきた我が家の決まり『卵は一日一個まで…』により、止むなく断念。おでんの煮卵も、すき焼きの時の溶き卵もそうであったように… 我が家では子供も大人も原則『卵は一日一個まで…』 いつもながらに寂しさを感じる瞬間ですが、50歳を過ぎて自身のコレステロール値云々は正常範囲にありますので、これも家内の厳しい卵制限のおかげ?ということなのでしょう。
それにしても、一日一個なんて誰が決めたの〜? …と思い、調べたところ、日本人のコレステロール摂取量は一日あたり100〜500mg、卵一個は250mgになるので、卵の個数が一日のコレステロール摂取量を大きく左右するといっても過言ではないようです。しかしながら、肝臓では一日1000〜1500mgのコレステロールが合成されていて、コレステロールの摂取量が増えたとしても、肝臓での合成量を減らして調整するような仕組みが備わっているので、若い人だったら一日10個食べても特に問題はないということ。問題はこれに加齢という要素が関わってくるということと、生涯食べ続けるであろう卵の食習慣として一日一個が妥当なのでは?ということでした。
それにしても、卵といえば思い出されるのは大学時代… 部活の飲み会に、合コンにと見境もなしに生活費を使い果たし、気付けば財布の中の所持金は千円足らず… 次の仕送りまでまだ一週間… さて、どうしたものか? スーパーでセール品の卵を買い込んで、朝も昼も夜も食べ続けた卵かけご飯… 頼みのお米も底をつき、明治ホットケーキミックスを水で溶いて焼いてお腹を満たした苦しくも楽しかった学生時代…
なので、『卵は一日一個まで…』なんて贅沢の極み… 感謝、感謝の毎日です。