先週の土曜日の夜9時より、NHK土曜ドラマ「足尾から来た女」の前編が放送されました。オリジナルの脚本は日本で最初の公害事件とされた足尾銅山鉱毒事件をもとに書かれたものです。
この事件、1980年(明治23年)、渡良瀬川で起きた大洪水で河川流域の稲が立ち枯れる現象が確認されたことに始まります。この時、被害をいち早く視察、その原因が上流にある足尾銅山から流れ出した鉱毒であることを当時の国会に告発し、その鉱毒反対運動のために自身の一生を捧げたのが政治家・田中正造(1913年・満71歳没)です。
ドラマ自体は、1906年(明治39年)発布の政府の政策により、足尾銅山の鉱毒を溜める貯水池として強制廃村を余儀なくされた栃木県谷中村の娘達が、田中正造の仲介で東京在住の社会運動家・福田英子のもとに家政婦として派遣された史実をもとにしたもので、谷中村に住む貧しい農家の娘・新田サチが見知らぬ東京の地で、様々な社会主義者や文豪と交わる中で成長していく姿を描いたものです。
ドラマの中、「東京の人は、谷中の事なんて誰も心配していないです。」というサチに対して正造は、「都をつくったのは町なんだ。町をつくったのは村なんだ。100軒の家も1軒の家から始まったんだ。その1軒を殺す都は己の首を絞めようなものだ。そんなことをする野蛮国は必ず滅びる!」と言い正します。
そして前編の終盤、強制執行で打ち壊される自分の家の前… その指揮をとる兄・信吉に向かって銅山の閉鎖を訴えるサチに対し兄は、鉄砲の弾を見せながら、「これで俺たちはロシアと戦ったんだ。こいつのおかげで俺たちは勝ったんだ!いいか?これは足尾銅山の銅で作られた弾だ。俺たちが目の敵にしている銅山で採れた銅なんだ。こいつに俺たちは助けられたんだ。」と言い諭します。
先日、2020年東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会の会長に就任する森元首相は、小泉元首相が訴えている「原発即時ゼロ」について次のように発言しました。「6年先の五輪のためにはもっと電気が必要だ。今から(原発)ゼロなら、五輪を返上するしかなくなる。世界に対して迷惑をかける」と…
さて… 皆さんはどのように思われますか?
1908年(明治41年)、政府は谷中村全域を河川地域に指定、1911年(明治44年)、旧谷中村村民の北海道常呂郡サロマベツ原野への移住が開始されました。
後編は今週の土曜日です。楽しみです。