『 祝婚歌 』

今日は立春、暦の上ではもう春です。それにしても先週末は驚きました。どちらかと言えば少々汗ばむくらいの陽気でしたが、一足お先の春の到来に、戸惑いを感じられた方も多かったのではないでしょうか。三寒四温とはもう昔のことなのかもしれません。柔軟に対応していくしかないようですね。

 

さて、昨日は節分。最近では“豆まき”よりも“恵方巻き”のほうが、世間を賑わしている観もあるようですが、一年の無病息災を願って、皆様それぞれにお祓いを済まされたことかと思います。

写真は前田家の節分… “福はうち”の家の中にまく豆の代わりのお菓子です。一通り豆まきが終わった後で、子供も親も一緒になって、一斉に拾って集めます。長女がまだ幼い頃は、行動が遅いだけに上二人の兄にほとんど拾われ、ひとり涙を流していましたが、さすがに最近ではそういうことも無くなり、昨日もガッツリため込んでお菓子を頬張っていたようです。

そして、今年は51個。大豆は嫌いなほうではありませんが、いくら厄除けとはいえ年齢の数だけ豆を食べることに抵抗を感じているのは自分だけでしょうか

 

さてさて、『祝婚歌』をご存知でしょうか。先週のNHKニュースウォッチ9で取り上げられていたのでご紹介します。『祝婚歌』とは詩人・吉野 弘(1926/1/16 〜 2014/1/15・享年87歳)が姪の結婚式に出席できないため、その代わりとして姪夫婦に書き送った詩で、後に彼の詩集に収録され公表されたものです。その後、この詩が話題になり、それから40年余り様々な結婚式の場面で、これから旅立つ二人への贈る言葉として紹介されているものだそうです。

 

 

『祝婚歌』 吉野 弘

二人が睦まじくいるためには

愚かでいるほうがいい

立派過ぎないほうがいい

立派過ぎるのは 長持ちしないことだと

気付いているほうがいい

 

完璧をめざさないほうがいい

完璧なんて不自然なことだと

うそぶいているほうがいい

 

二人のうちどちらかが

ふざけているほうがいい

ずっこけているほうがいい

互いに避難することがあっても

避難できる資格が自分にあったかどうか

あとで疑わしくなるほうがいい

 

正しいことを言うときは

少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときは

相手を傷つけやすいものだと

気付いているほうがいい

 

立派でありたいとか

正しくありたいとかという

無理な緊張には色目を使わず

ゆったりとゆたかに

光を浴びているほうがいい

 

健康で風にふかれながら

生きているなつかしさに

ふと胸が熱くなる

そんな日があってもいい

 

そしてなぜ胸が熱くなるのか

黙っていても

二人にはわかるのであってほしい

 


さあ、世の男性方。

この詩を胸に、福の神となってお家に帰って行きましょう。(⌒-⌒)