先週の日曜日の鹿児島市内、心配された台風12号の影響はそれほどでもなく、何とか無事に「平成27年度・認知症食支援フォーラム」を開催することができました。
これもひとえに、足元の悪い中にも関わらず会場に足を運んで下さいました皆様の熱意の賜物と思っております。感謝いたします。
さて、日本国内で推定460万人、その予備群まで合わせると約900万人(高血圧症は約800万人)とされる認知症は、この数値からも、“もはや他人事ではない…”ことを伺い知ることができます。
講演の中では、この認知症についての“正しい理解”ということで、お二人の先生に様々な角度からお話しを伺うことができました。
その中で、認知症の一症状である『見当識障害』は耳に残る言葉でした。
見当識(けんとうしき)とは、現在の年月や時刻、自分がどこに居るかなどの基本的な状況を正しく認識する機能のことで、それが障害されると、今一緒にいる人までわからなくなったり、通り慣れた道でも迷子になったりします。
気をつけなければならないのはその対応で、認知症の一般的な症状である記憶障害とは少し意味合いが異なるので、視点を変える必要があるとのことでした。
例えば、自分の親族に「あなたはどなた?」と尋ねられた場合、通常は “自分の顔を忘れてしまったのかな?” と考えがちですが、実はそうではなく、“あなた” がまだこの世に存在しない遠い昔の過去の記憶の中で、当の本人がさまよっているかもしれないということ。つまり、その過去に未来から訪れた “あなた” に対して、「あなたはどなた?」は至極当然な質問であるということなのです。
なので、このケースの場合、「どうして分からないの? 私よ!私! 自分の娘も分からないの? まったく…」というような、本人にストレスを与えるような誤った答え方をしてしまうと、「馬鹿にされている」「軽く扱われている」と、本人が負の感情を抱く事にもなりかねず、結果的にそれが暴言や徘徊などの次の認知症の症状に繋がっていくこともあり得るとのことでした。
認知症患者のケアについて、非常に難しい問題を抱えていることがわかり、あらためて考えさせられる一日でした。
また機会があれば、このような企画に参加していきたいと思います。