「アイスバス」

10月に入ってから好天が続いています。依然として桜島は物静かで、雨らしい雨もほとんど降らないので、例年になくキンモクセイの花の香りが長続きしている鹿児島市内です。



さて、ラグビー日本代表の過熱報道もなかなか冷めやらぬ昨今ですが、日本代表が今年の8月に宮崎で合宿を行った時の一場面、写真の五郎丸選手が嫌そ〜な顔をして入っているのは「アイスバス」です。訳して「氷水風呂」。

 

以前このブログでもご紹介したことのある、ビニール袋に入った氷水を使った「生理的局所冷却法」の大型版と言っていいかもしれません。

 

 

目的は練習や試合などで酷使した筋肉や関節などの疲労回復の促進。今回の様々な報道で自分も初めて知ったこの「アイスバス」、調べてみると日本代表に限らず大学や高校のラグビー部でもかなり以前から使われているらしく、今やラグビー界のクールダウンの常識となっているようでした。

 

 

さてさて、いったい氷水で冷やすとどうなるのか? 体が冷えると血行循環が悪くなり、運動などで体が暖まると血行が改善されるというような考え方だけに縛られてしまうと、なかなか受け入れにくい体の仕組みなのですが、実はこの氷が溶け出す温度で生体を冷却すると、一旦は循環不全の方向に向かうものの、一定時間が過ぎると血流量は平常値まで回復し、そしてそれ以降は一定の値まで増加するという経過をたどります。

 

つまり、筋肉や関節内の痛みの原因となる発痛物質や老廃物と呼ばれる代謝産物の速やかな排出が、この血流量の増加によって起こりやすくなり、いわゆる疲労回復の促進に繋がるということなのです。

 

 

冷やす時間は約15〜20分。実際足首の捻挫などの時にやってみると分かると思いますが、冷却後は劇的に回復します。

 

ただ、冷やしている間の感覚としては「冷たい」ではなくて、「ものすごく痛い」しかないので、試合中でも滅多に見られない五郎丸選手の苦痛に歪んだあの顔は本物です。

 

写真右は、南アフリカ戦の翌日の午前の日本代表の一風景。宿舎前の海で前日の勝ちに浮かれての水遊びと思いきや、どう考えてもこの時期のしかもイギリスでの海水浴はあまりにも不自然… どうやらこれも、試合後のリカバリー(クールダウン)の一環らしいです。(・・;)