先週の土曜日の午後、新幹線で約一年ぶりに熊本に向かいました。目的は、大学時代の友人と会うこと。それと、あの震災依頼ずっと気になっていた熊本をこの目で確かめること。その二つです。
鹿児島中央駅を午後4時過ぎに出発。7月に入り、九州新幹線も通常のダイヤに戻ったようでしたが、熊本市内に入るあたりから、依然として速度規制が敷かれているらしく、市内をゆっくりと進む新幹線の窓からは、ブルーシートで覆われた屋根々が確認できました。
熊本駅から市電で市内中心部に向かい、震災からの復興に向けた「負けんばい熊本」のキャッチフレーズが目につくアーケードを抜け、宿泊予定のホテルに到着したのは午後5時半過ぎ。 チェックインを済ませ、フロントで受け取った部屋のカードキーの番号は「921」
“もう少し下の階の部屋は…?” と、言い出したくなるのをぐっと堪えて、大分からやって来る友人の到着を、ホテルの9階の一室で待っている時のことでした。
午後6時5分。 突然の揺れ。
慌てて身構え、次の揺れと脱出に備えましたが、何とか余震はそれで収まり、後で熊本市内を中心とする震度4の揺れであることがわかりました。 間もなくして友人も無事到着。それからは、そんなこんなの話しや昔話に花が咲き、しばし地震のことも忘れての楽しい夜となりました。
翌日、午前7時過ぎに朝食を済ませ、写真(上)の熊本城を後にして、電車に乗り終点の健軍町で降り、タクシーに乗りかえ県道28号線を東へ向かいました。
間もなくすると、道路のうねりに沿って車は激しく上下動。そして、1階部分だけが押しつぶされた建物が次々と目に飛び込んできます。益城町でした。
益城町役場前でタクシーを降り、仮設のプレハブ内の役場窓口で義援金の受付を済ませ周辺を歩いていると、タクシーの運転手さんが話してくれた河川近くの犠牲者が最も集中した地区が見えてきました。
人影は全くなし。時折、元気に声を掛け合うボランティアの人々の声が聞こえるだけ。地面に対して鉛直に構えた建造物はひとつとしてなく、まるで歪んだ空間にいるような… そんな錯覚さえ起こさせる異様な光景でした。
「来てよかった…」
友人と納得して、
午前10時過ぎ… 風もなく、うだるような暑さの益城を後にしました。