今年の8月、抗生物質がほとんど効かない多剤耐性菌により8人が死亡したという発表が、母校の鹿児島大学病院でありました。
この報道をご覧になって、あれ? それでおしまい? 人的な責任問題はどこに行ったの? と、思われた方も多かったのではないでしょうか。
大学病院としてはあらゆる手を尽くしたが防げなかった、ある意味、諦めともとれる発表でしたが、その背景にはAMR(薬剤耐性)の問題が根強くあります。
感染症という病気の治療に大きく貢献してきた薬剤(抗生物質)ですが、その歴史は、薬の効かなくなった耐性菌に対してまた薬の開発を行うという、いたちごっこの歴史でもありました。
その後、耐性菌による死亡者数は年々増加を続け、このまま何も対策を講じなければ2050年にはその数は1,000万人に達し、現在1位のがんによる死亡者数を越えるというレポートも2015年に発表されました。
それを受けて、世界レベルで、薬剤(抗生物質)の乱用が見直されてきているのが現在の状況です。
歯科では、感染を伴わない抜歯に関しては原則、抗生物質の予防投与は行わない。感染を伴うような疾患でも、抗生物質の選択、使用量についてなど、新たなるガイドラインも設けられました。
慣れ親しんだ薬の魔力から解放されるにためには、まずは術者も患者も正しい知識が必要です。
AMR(薬剤耐性)についてのホームページです。参考になさって下さい。 http://amr.ncgm.go.jp/general/